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ヨーガ療法の病気や不調になる仕組み(人間の構造論)について

伝統的なヨーガでは、人間の構造論と機能論がしっかりと確立しています。ですので、私たちヨーガ療法士はその機能論と構造論を用いて、クライエント(生徒)さんをアセスメントして、ヨーガ療法のインストラクションを出しています。

構造論はいくつかありますが、今日は伝統的なヨーガにおける病気や不調の発現を、人間五蔵説/パンチャ・コーシャ(出典:タイティリーヤ・ウパニシャッド)という構造論に則って、ご説明したいと思います。

まず、タイティリーヤ・ウパニシャッドでは、人間を5つの鞘/coverから成るとされています。鞘だとわかりづらいかもしれないので、ここでは、5つの層と呼ばせてもらいます。

アーナンダマヤ・コーシャ:体

1つ目の一番わかりやすい層は、体・食物の層で、名前を食物鞘(アンナマヤ・コーシャ)といいます。西洋医学では、この体について、生理学や解剖学で構造論と機能論を持っており、それをもとに診断して、治療してくれます。

プラーナーマヤ・コーシャ:呼吸

2つ目は、呼吸の層。名前は、生気鞘(プラーナーマヤ・コーシャ)といいます。気持ちが焦ったり、落ち込んだり、怒ったりすると、呼吸は乱れますよね。心配事や悩みがあると、本当はリラックスしてていい時間にも、頭の中で勝手に考えて、呼吸も勝手に乱れています。それが、交感神経優位になって、体に不調や病気を発現させます。

マノーマヤ・コーシャ:感情

3つ目は、感情の層。名前は、意思鞘(マノーマヤ・コーシャ)といいます。気分や気持ちの層。ネガティブな感情は、呼吸や体の調子を狂わせます。

ヴィジュナーナマヤ・コーシャ:こころのものさし

そして、ネックは次の4番目の層です。名前は、理智鞘(ヴィジュナーナマヤ・コーシャ)といいます。ここは、感情のもとになる、考え方の“ものさし”・判断基準・認知の層になります。よく、感情が勝手に出てくるみたいなことを言われますが、そうではなく、無意識であってもこの理智が判断をして感情を出しているのです。意味もなく、ただ漠然と…という感情も、この理智が絡んでいます。ただ、気が付けないだけで。じゃぁ、気づいただけで、変わるの?と思わるかもしれませんが、理智の判断は変わることもありますが、変わらないこともあります。そのために、ヨーガのカウンセリング法であるダルシャナや瞑想法があります。ヨーガには機能論も存在しますので、必要なかったり、変えたりしたい考え方の場合には、瞑想法でそこに自ら修正をしていくメソッドがあります。

アーナンダマヤ・コーシャ:記憶

最後の5番目は、記憶の層。歓喜鞘(アーナンダマヤ・コーシャ)といいます。この層は、記憶のことです。歓喜鞘というくらいですから、自分の記憶を振り返った時に歓喜に満たされているのがヨーガの健康状態ですが…なかなか、そうはいかないのが現実です。それに記憶は変えられないと思っている人もいらっしゃると思いますが、過去に起こった出来事は変えられないけれど、それにまつわる認知は変えることができます。例えば、「子供のころ夕食の時にテレビを見せてくれなかったので、不満だった」という記憶があるとします。ですが、大人になって自分も家族をもって見ると、「夕食の時にテレビをつけず、家族でいろんな話ができるのは良い」と気が付くと、「うちの両親は家族の会話を大切にしていたんだ、そういえば楽しかったな」などと、認知が変わったりしていることってありませんか?

まとめ

実は、認知は記憶を変えますが、経験してきたことから認知を作っているので、4番目と5番目の認知と記憶の層は、最終的には私たちの体にまで影響してくるというのが、ヨーガのタイティリーヤ・ウパニシャッドにある“人間五蔵説”の考え方です。

ヨーガ療法では、この五蔵説を用いて見立て、その人に会ったインストラクション(ポーズ・呼吸法・瞑想法…人によっては、ダルシャナというヨーガのカウンセリング法)を行います。

それぞれの鞘に意識を向け、ご自分で気が付いていきます。私たちはそのお手伝いをさせていただきます。

おまけ

ちなみに、このタイティリーヤ・ウパニシャッドの五蔵説の説明は、木村慧心著「ヨーガ療法とストレス・マネージメント」の中に原文の日本語訳になって、父ヴァルナと息子ブリグの対話の中に書かれていますので、もしよかったら手に取ってお読みいただけたらと思います。

ヨーガ療法士の方 YIC,YTIC勉強中の方へ

もし、五蔵説の説明を検索してここにたどり着いたのであれば、生徒さんへの説明で文章を使いたいという場合は、使っていただいて大丈夫です。(画像は除く)