嫌なことが頭から離れない|大宮のヨーガ療法士が教える心の整え方
理不尽なことって、避けようがありません。どれだけ丁寧に仕事をしていても、どれだけ気を配っていても、ある日ふいにやってくる。しかもたいてい、こちらに反論の余地がない形で。
つらいのは、その出来事そのものより、あとから何度も思い出してしまうことではないでしょうか。帰りの電車でも、お風呂でも、布団の中でも、頭の中で同じ場面が再生される。翌朝、起きた時点でもう疲れている。
この記事は、そんな夜を過ごしている方に向けて書いています。なぜ頭から離れないのか、そしてどうすれば少し楽になるのかを、ヨーガ療法と心理の両方の視点からお伝えします。
嫌なことが頭から離れないのは、性格のせいではありません
先日、50代の生徒さんがクラスの後にぽつりとおっしゃいました。「先生、私って根に持つタイプなんですかね」と。
(※ご紹介するエピソードは、複数の方のお話をもとに、個人が特定されないよう再構成しています)
実際に理不尽な目に遭っていた時間は、おそらく5分ほど。けれど心と体は、その5分を夜中まで何度も再生し続けていました。
心理の分野では、これを反芻(はんすう)と呼びます。厄介なのは、体がそれを「今まさに起きていること」として受け取ってしまう点です。思い出すたびに心拍が上がり、呼吸が浅くなり、肩や顎に力が入る。頭の中の再生なのに、体は実際に責められている時と同じ反応をしています。だから朝から疲れている。当然のことなんです。
そして大切なのは、反芻は性格の悪さでも弱さでもないということ。心が納得したがっているから起きます。「なぜ私が」の答えを探して、心が何度も現場に戻っている。答えが出ないから、また戻る。ごく自然な働きです。
だから「もう考えるのはやめよう」と決意しても、まず止まりません。決意するのも、考えることのうちだからです。
ヨガは「許しなさい」とは言いません
ヨガの教えでは、心を揺らすものとしてラーガ(好き・執着)とドヴェーシャ(嫌悪)を挙げます。理不尽な出来事に湧いてくるあの感じは、まさにドヴェーシャです。
ではどうするか。ヨーガ・スートラ(1-33)には、心の持ち方として四つが説かれています。マイトリー(慈しむ)、カルナー(哀れむ)、ムディター(共に喜ぶ)、そしてウペークシャー(捨てさる)。
理不尽な相手に必要なのは、四つめのウペークシャーです。
これはよく「捨」と訳されますが、「許す」でも「諦める」でもありません。相手を裁くのもやめるし、無理に理解しようとするのもやめる。そのうえで、自分の心をその出来事から少し離しておく。そういう距離の取り方です。
私は生徒さんによくお伝えします。許さなくていいんですよ、と。
許そうと頑張ることは、実はまだその人と組み合っている状態です。ウペークシャーは、組み合うのをやめること。理不尽な人を消すことはできません。でも、その人に自分の夜を何時間差し出すかは、自分で決められます。
頭でぐるぐるしている時は、頭以外を使う
とはいえ「心を離しておこう」と思って離せるなら苦労はありません。ここでヨガの人間観が役に立ちます。
ヨガでは、人を五つの層(五蔵説)で捉えます。
- 食物鞘(アンナマヤ・コーシャ)=身体
- 生気鞘(プラーナマヤ・コーシャ)=呼吸・自律神経
- 意思鞘(マノーマヤ・コーシャ)=感覚器官
- 理智鞘(ヴィジュニャーナマヤ・コーシャ)=思考・認知
- 歓喜鞘(アーナンダマヤ・コーシャ)=記憶
夜中に同じ場面を再生しているのは、理智鞘=思考の層です。そして思考でぐるぐるしているものに、思考で勝とうとしても、まず勝てません。同じ土俵だからです。
だからヨーガ療法では、もっと手前の層から手を入れます。体を動かす(食物鞘)。呼吸を整える(生気鞘)。土台が落ち着くと、その上の思考も自然と静まってきます。
今夜すぐできる、ひとつの呼吸法
布団に入ったら、吐く息だけを少し長くします。吸うのは自然でかまいません。吐きながら、心の中で数を数えます。四つでも六つでも、苦しくない長さで。
これをやっている間、頭の中の会議は中断します。注意は一度にひとつのことにしか向けられないからです。
もちろん、すぐまた再開します。それでいいんです。気づいたら、また呼吸に戻す。戻す、離れる、また戻す——この繰り返しそのものが、ヨガの練習です。
ヨーガ・スートラの冒頭(1-2)には、こうあります。
Yogaś citta-vṛtti-nirodhaḥ(ヨーガとは、心のはたらきを鎮めること)
ポーズを完成させることでも、体を柔らかくすることでもなく、この一文がヨガの定義です。理不尽な夜に呼吸へ戻ろうとするその一分は、まぎれもなくヨガをしている時間です。
こんな方におすすめです
ぷるなよがのヨーガ療法クラスは、次のような方に受けていただいています。
- 仕事や家庭での出来事が頭から離れず、眠りが浅い方
- 更年期の時期に入り、以前よりイライラや落ち込みが長引くと感じている方
- 自律神経の乱れを指摘されたことがある方
- 体力に自信がなく、一般的なヨガスタジオはハードルが高いと感じている方
- ヨガ初心者の方、シニア世代の方
少人数制ですので、その日の体調やお気持ちに合わせて内容を調整します。ポーズの美しさや柔軟性は問いません。
まとめ
出来事はコントロールできません。でも、その出来事に自分の心をどれだけ貸すかは、実はポーズの練習で変えられます。理不尽なことがあった日ほど、体と呼吸に帰ってきてください。
ぷるなよがでは、ストレスや自律神経の不調に合わせたヨーガ療法のクラスをご用意しています。大宮駅西口から徒歩5分。オンラインでもご参加いただけます。



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