「休めない」を手放す休息法|大宮のヨーガ療法士が解説
「もう休んでいいよ」と言われても、なぜか手が止まらない――。そんな感覚に、心当たりはありませんか。
子育てや仕事が一段落し、周りから「よく頑張ったね、少しゆっくりしたら」と声をかけられるようになっても、いざ時間ができると落ち着かない。掃除を始めたり、何かの勉強を始めたり、常に手を動かしていないと、胸のあたりがそわそわしてしまう。
この記事は、そんな「休み方がわからない」と感じているあなたに向けて書いています。大宮でヨーガ療法士・公認心理師として活動する私が、心理学とヨーガ、両方の視点からその理由と対処法をお伝えします。
「休めない」のは性格ではなく、神経の「状態」
心理師として、そしてヨーガ療法士として、これまで多くの方からこうしたお悩みを伺ってきました。まずお伝えしたいのは、これは意志の弱さでも、性格の問題でもないということです。
長く緊張状態が続くと、自律神経のうち活動を司る「交感神経」が優位な状態が体にとっての「通常運転」になっていきます。頭では休んでいるつもりでも、神経はずっとアイドリング状態のまま。休むための神経の使い方そのものが、久しく使われていなかった、というだけなのです。
もうひとつ、心理的な側面もあります。「頑張っている自分」に価値を感じてきた歴史がある方は、休むこと=価値がなくなること、のように感じてしまいがちです。頭では「休んでいい」とわかっていても、体と心がそれを許可できない。これは、休むことに対する「安全でない感覚」が根っこにある状態だと、私は捉えています。
さらに、「誰かに認めてもらって、初めて安心できる」という傾向を持つ方も少なくありません。心理学には「自己承認(セルフ・バリデーション)」という言葉がありますが、これは誰かにジャッジしてもらう前に、自分で自分の状態を「これでいい」と認めてあげる力のこと。休めない方の多くは、この力を鍛える機会がこれまでなかっただけなのです。
ヨーガ療法が伝えてきた「休めない」の仕組み
ヨーガ哲学には、人の心の性質を三つに分ける「グナ(心の特性)」という考え方があります。サットヴァ=善性(調和・落ち着き)、ラジャス=動性(活動・情熱)、タマス=暗性(惰性・重さ)。この三つの性質が、常に心の中で入れ替わりながら私たちを動かしているとされています。
「休めない」状態は、多くの場合、このうちのラジャス(動性)が優位になりすぎている状態です。ラジャスそのものは悪いものではなく、行動力や意欲を生み出す大切な性質です。ただ、ラジャスだけが強く働き続けると、心は絶えず「次」「次」と先を急ぎ、立ち止まることを危険信号のように感じ始めてしまいます。
あお向けで完全に脱力する「シャバーサナ(屍のポーズ)」が、数あるポーズの中でもっとも難しいポーズだとヨガでは語り継がれてきました。動くことより、何もせずにただ在ることのほうが、心にとってはずっと高度な技術だということを、昔の人たちはすでに知っていたのだと思います。
だからこそヨーガでは、休むことを「サボり」としてではなく、練習して身につける技術として扱います。根性ではなく、トレーニングとして少しずつ体に教えていくものなのです。
また、ヨーガには「サントーシャ(知足)」という考え方もあります。何かを達成したから満たされるのではなく、今この状態のままで、すでに十分だと感じること。これは「自分で自分を認める」力ととても近いところにあり、誰かに認められる前に、まず自分自身が「これでいい」と静かにうなずいてあげる練習だといえます。
今日からできる、小さな一歩
いきなり「何もしない1時間」を作る必要はありません。まずは1分でいい。手を止めて、ただ息を吐き切ってみる。それだけで、ラジャスに偏っていた心に、サットヴァの静けさがすっと差し込む瞬間があります。
「休んでいいよ」と言われても休めないのは、あなたが弱いからでも、頑張りすぎる性格だからでもありません。ただ、休む筋肉が、まだ十分に鍛えられていないだけ。だとしたら、これから少しずつ鍛えていけばよいのです。
ぷるなよがのレッスンでは、各ポーズの後と、最後にお休みする時間をとっています。動いたあとに、ちゃんと止まる。その往復を、体に思い出してもらうためです。
※ヨーガ療法は医療の代わりではなく、セルフケアを支えるものです。心身の不調が続く場合は、医療機関への相談もあわせてご検討ください。
こんな方におすすめ
- 頑張り屋さんで、休むことに罪悪感を感じてしまう方
- 自律神経の乱れや、常にそわそわする感覚に心当たりがある方
- 「休み方がわからない」と感じている40代以降の方
- 一人での練習に不安があり、誰かと一緒に取り組みたい方
ぷるなよがでは、自律神経を整えるヨーガ療法クラスをご用意しています。
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